

エスティー商事は、約40年にわたりアイスクリーム自動販売機の設置・管理を手がけてきました。創業当初は、飲料自販機の管理やアイスクリーム・冷凍おにぎりの卸売業も展開していましたが、次第にアイスクリーム自販機に特化した事業へとシフト。現在、北陸エリアを中心に販売を行っています。
アイスクリームという「溶ける」リスクを伴う商品の管理に加え、気候変動による需要予測の困難さ、人手不足といった複数の課題を抱える中、代表の高沢儀明さんは、デジタルによるデータ活用に突破口を見出しました。今年からは長男・蓮さんも加わり、ITを活用した業務効率化が加速しています。今回は、お二人にその取り組みについてお話を伺いました。

―――KISを知っていただいたきっかけはホームページだったそうですね。ご自身でいろいろ調べてらっしゃったそうですが、当時はどんなお困りごとがあったのでしょうか?
高沢儀明 当社は北陸エリアの広域に自販機を設置しています。移動距離が長く、補充に時間がかかるうえ、近年の天候不順で過去の販売データがあまり参考にならなくなってきました。ゲリラ豪雨などで予測が外れたり、雨の多いGWは外出が減って売上が落ちたり…。勘や経験だけでは対応しきれないと感じることが増えていました。
そこで、現地に行かずとも在庫状況が分かる「オンラインシステム」が必要だと強く感じるようになったんです。ちょうど10年半使っていた旧システムの切り替え時期でもあり、「どうせ変えるなら、別の機能も」と思って名古屋の展示会に行ったり、ネットで情報収集したりして3社に絞り込み、KISさんに決めました。通信費も以前より安くなっていたので、導入に踏み切る決心がつきました。
―――ありがとうございます。iVENUS(アイビーナス)、iLibra(アイリブラ)を2023年3月にお試しでiLibraを10台導入、その後すぐに100台を追加されましたよね。
高沢儀明 そうなんです。オンラインシステムと言っても、最初は正直ピンときていなかったんですよ(笑)。でも、KISさんが「まずは10台から試しましょう」と提案してくれて、気軽に始められました。遠隔地の公園や施設に導入して使ってみたら、「これは早くもっと入れないと!」と(笑)。
―――効果を実感されたということですね。 ありがとうございます。iLibraの直近在庫収集、アラート通知、検量データ収集もお使いいただいていますが、導入前と比べてどのような変化がありましたか?
高沢儀明 以前は、まさに“勘”に頼った補充作業でした(笑)。公園なら土日が売れるから日曜は晴れそうだし補充に行こうとか、イベントや天気に応じて判断していたんです。でも、そうした属人的なやり方から脱却するためにこのシステムを導入したら、「これは使える!」と。導入コストのことも忘れて、100台一気に追加してしまいました(笑)。
今では、データを見ながら確信をもって行動できるので、本当に便利です。現在すでに保有している自販機の半分ほどに導入済みで、さらに50台追加予定です。
―――新システムを導入すると作業がガラッと変わってしまいますが、働いている方はどのようにおっしゃっていましたか?
高沢儀明 最初は妻が反対していました。「こんな忙しいときに何してくれるの」って(笑)。効果があるかどうかも半信半疑だったようです。
―――やはり新しいことには抵抗がありますよね。
高沢蓮 スマホを普段から使っている世代は、操作に全く抵抗はなかったですね。
―――蓮さんのようなデジタル世代は頼もしいですね。導入による変化はどう感じていますか?
高沢蓮 私は導入後に入社したので、前の状況は見ていませんが、打ち合わせには呼ばれていたので様子は知っていました。実感としては、業務効率が2倍近く向上したと感じています。
高沢儀明 配送スタッフも、以前は17〜18時までかかっていたのが、今は15〜16時に戻って来られます。今は導入して本当に良かったと思っています。妻も「行かなくていいと思っていた場所が、売れていることが分かって、仕事が増えて困る」なんて、うれしい悲鳴をあげています(笑)。
高沢儀明 アイスクリームは気温やイベントで急に売れるので、売り切れが発生しやすいんです。でも今はiLibraで状況が把握できるので、チャンスロスが確実に減りました。これまで補充頻度が低かった遠方の場所や商業施設でも、売れるタイミングを逃さず対応できるのがありがたいですね。
高沢蓮 アイスクリームには「溶ける」リスクがあります。冷凍車から降ろして自動販売機まで多めに持っていって持ち帰ることはできません。スピードが大事。特に暑い時には作業に時間をかけていられないのですが、設置場所は車をベタ付けできないところが多いのです。特にショッピングセンターは建物内の移動距離が長いのでスピード勝負になります。以前のようにハンディに入力してトラックに戻って数を揃えてから持っていくのではなく、事前にその日のルートに合わせて種類と数を揃えておき、現地で素早く作業できるようになったのは、リスクを減らして作業効率が大きく向上しました。
高沢蓮 iLibraにはアラート通知機能もあるため、売り切れアラートがついていると自動販売機の管理者さんから電話があっていたのですが、今は私達がオンラインで在庫管理をしているのを分かってらっしゃるので、「連絡しなくてもいいね」と言ってくださる方もいらっしゃいます(笑)。
KIS アラート通知では、自販機の故障した場合の温度センサー異常のアラート等も通知することができます。
高沢儀明 それはありがたいですね。アイスクリームは1時間通電しなかったら大変なことになるので、通電が切れた時にはすっ飛んで行っています。
回転率を早くしないと利益が上がらないので、商品の入れ替えも重要です。データがあると売れ行きに合わせて在庫数を調整することができるので、回転数を上げるのにも役立っています。
―――今後の取り組みや、さらに進めたいことはありますか?
高沢蓮 今はまだ「データを集める」段階だと思いますが、これからは「データを活用できる人材」を育てていきたいです。経験則は教えるのが難しいですが、データに基づく指示は誰もが納得できますから。売れる時期や傾向を把握できれば、補充頻度を見直し、ルートを最適化することも可能です。
将来的には、気温や天候データも取り込んで、より精度の高い補充計画を立てられるようにしたいですね。

高沢儀明 システムを導入していなければ、少人数で今の台数を維持するのは難しかったと思います。でも、システムがあるからこそ、対応できる実感があります。今後はもっとデータベースを有効活用していきたいですね。
高沢蓮 これからはさらに発展させて、天候、売上、エリア状況を入力したらAIが補充ルートを組んでくれることができるようになると理想的ですね。システム開発になると時間もお金もかかるでしょうが、一部にオープンAIなどを使って最適なルートを組めるようにしてもらえれば、さらに効率的になります。
KIS とても大切なご意見ですね。社内でも検討させていただきます。
高沢儀明 実は先日、自販機による返金を装った詐欺被害があったのですが、うちはiLibra記録のおかげで虚偽を証明できました。データがあったからこそ、自分たちの身を守れたと実感しましたよ。
―――そんなことがあったのですか! それは大変でしたね。客観的なデータを持つことで自分を守ることができるのは心強いですよね。今後もよい活用の仕方を一緒に模索していけるとありがたいです。本日はありがとうございました。
エスティー商事様が抱えていた「溶ける」リスクや補充の効率化といった課題に対し、iLibra・iVENUSが現場で実際にお役立ていただけていることを大変嬉しく思います。特に、遠隔地での在庫管理や配送時間の短縮など、具体的な成果を伺い、私たちも励みになりました。
今後も皆様の声を反映した機能改善に取り組んでまいります。引き続き、安心してご活用いただけるよう、サポート体制も充実させてまいります。

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