――今回導入していただいたのは自動販売機内の売上を遠隔地から把握するシステム「iLibra」ですね。
　　導入されたきっかけを教えてください。

遠藤　自動販売機の商品補充の効率化は長年の課題で、3、4年前からシステム化できていないか模索していました。病院やホテルは各階に自動販売機を設置しており、多いところだと10数台置いているので、一回の補充で周りきれず何度も往復することもありますし、逆に持っていきすぎたら持ち帰って片付け作業が発生します。事前に補充数がわかっていればその手間がなくなるので、事前に売れ行きや売切れが分かるシステムが欲しかったんです。効率化を考えて導入しました。

――効果はいかがでしたか？

遠藤　導入前と導入後、１日で30分から1時間の時間短縮ができましたよ。システム導入によって事前に売上がわかるようになり、あまり売れていなければ補充しなくてよいので、訪問しなくていい場合も出てきました。また、コロナ禍になり、売れ行きが今までと変わりましたが、実際の売上数が分かりますので、柔軟に対応ができました。

太原　導入前は、売上数は経験で予測するしかなかったので、新人さんはなかなかできない業務でした。言葉で伝えにくい作業でベテランの勘に頼るところが大きかったのですが、勘を養うのも時間がかかってしまいます。システムを導入して見える化することができたので管理作業がマニュアル化でき、今は経験がない人でも対応できるようになっています。人材育成の面でも効率化されたと思います。

――いろんな面で効率化がみられたと聞いて安心しました。
　　創業50年を迎えられましたが、今後はどんなことをしていきたいと思っていらっしゃいますか？

太原　広島で生まれ育った企業ですから、広島から出て欲しいと言われても出るつもりはないというくらい、広島が好きなんです（笑）。若い頃は地元愛の強さを泥臭いと思ったこともありましたが、やっぱりそれがいいんですよね（笑）。ですから私たちは、ここにいながら進化してきたいと思っています。そのために事業の効率化はとても大事ですね。今は、お金をかけてもよいから時間のゆとりを作りたいと思っています。
私たちが仕事の中で大事にしているのがお客様との信頼関係です。飲料に関して気をつけているのは、賞味期限。今は自販機の在庫商品を出してみないとわからないので時間がかかっていますが、ここが効率化できるとより安全性が高まりますよね。iLibraで賞味期限の管理ができれば良いですね。今はオンライン会議もできますし、KISさんとは密にコミュニケーションを取りながら進めていきたいと思っています。

遠藤　現場の声を聞きながら進めたいと思っているので、夕方、補充作業の担当者が帰ってた頃に一緒にオンラインで意見交換するのもいいですね。

――ありがとうございます。ぜひニーズにあったものを一緒に作っていきたいと思います。最近はネットショップでの販売
　　にも取り組まれているそうですが、将来のヴィジョンをお聞かせいただけますか？

太原　当社の扱っている商品を全国の法人様、又、一部一般の方にも使っていただけるようにオンラインショップを始めました。お客様からはホテルで使っているアメニティ商品を自宅で使うことで旅行気分を味わえると、好評をいただいています。それから、メーカーになる決意をしました。「広島大人レモン」というハンドクリームを開発して自社製品として販売していきます。30〜50代の女性がターゲットで他社の女性社員の意見も取り入れて作ったんですが、彼女たちが試作品を試したら「結婚相手の匂いだね」と話してくれまして。甘酸っぱい青春を連想させる香りではなく、身近な安心感のある大人の香りだと（笑）。その発想をネーミングやパッケージデザインに活かして作りました。今までずっとB to B（企業への販売）の商売をしてきてB to C（消費者への販売）は初めての試みなので、楽しみでもあるし、緊張感もありますね（笑）。ネットショップの担当は遠藤くんです。

遠藤　ずっと自社オリジナル商品を作ってみたいと思っていたんですが、ようやくそれが形になるので嬉しいですね。試行錯誤しながら頑張っているところです。

太原　２年前にSDGsの研修を受けてから、地域や環境について考えるようになりました。「広島大人レモン」もそこから生まれた商品なんです。広島がレモンの産地なので、地元を応援したいと思って広島産レモンを使ったハンドクリームを作ったんですよ。B to Cは今まで見えなかったお客様ひとりひとりのお顔が個別に見えてくると思いますし、直接お客様に販売することでたくさんの方を喜ばせることができたらと思っています。発売日は2022年10月１日です。自信作ですのでぜひお試しください。広島東洋カープの応援も、どうぞよろしくお願いいたします！！（笑）